(山の家は、代表の個人的な思いから
スタートしました)
昨年の秋の事。友人から古民家を処分したいと相談を受けました。
写真を見ただけで、一目惚れ。
でも、実際は家の中の状況が把握できない程、沢山の荷物の山で、
長年空き家だったこともあり、老朽化がかなり進んでいました。
何人もご紹介しても、入り口で帰られる有様でした。
どうしてなんだろう?
こんなに素敵なのに…
こんな風景が残っているのに..
誰もが見向きもしないけど、気になって気になって
仕方がない存在です。
昨年末、あ〜〜ここを再生したい!と、いきなり思いが膨らんで
きました。
柱だけは、まだこのまま使えます。
一応、雨漏りはしていない状況。
昔、昔、おじいさんとおばあさんが住んでいました〜。
そんな昔話にでてきそうな場所です。
我が家から車で30分走るだけでこんな風景が残っているなんて、
日本人の奥深い記憶に残っているような風景です。
頭の中で、くるくるといろんなビジョンが浮かんできます。
本当に取得するの?大丈夫?
そんな時、友人等がNPOで瀬戸内海の島で古民家を取得されました。
早速遊びに行ってみると、すぐ住めそうな広い立派な母屋と離れと
沢山の田畑や山までついていました。
目の前に立派な葦が生えていたのです。
昔、葦船を作った事から、何処に行っても葦原には目が行きます。
いきなり、閃いてしまいました。今はトタンで覆われている
あの茅葺屋根を再生したいと。
昔の様な茅葺屋根の家に戻す事ができたら、どんなに素晴らしい
だろう。
目の前にいきなり茅葺屋根に戻った家のビジョンが浮かんで
きたのです。
でも、茅葺職人の人はおられるのかしら?とインターネットで検索
してみると、我が家のすぐ近くに茅葺職人の方がおられることを
知ったのです。
いきなり、ご連絡し、思いを告げました。
お年寄りだと思っていたら、なんと46歳という若さでその
世界では有名な方でした。
トントン拍子に繋がってきます。
これはやれって事だ!いやいや、本当にできるのか?
仲間達にその事を相談し、現場を見せると、99%の人たちが絶句。
コメント無しか、呆れてしまわれる有様でした。
考えても仕方がないので、とりあえず、葦刈りしてみよう。
本当にできるのか自分自身を試してみようと思いました。
車で2時間弱の距離を走り、鎌や道具を揃え、
一人で刈り始めました。
右手が腱鞘炎になるくらい刈っていると、
仲間が一人、二人と手伝ってくれる様になりました。
毎週1〜2回日参し、やっと100束ぐらい刈れたのです。
島の沢山の方々との素晴らしい出会いがありました。
そろそろ新しい芽が出始めると葦刈りは終わりです。
いよいよ古民家の片付けです。
仲間と二人で一日中片付け、Kトラ2台分の大型ゴミを
整理して、やっと玄関の入り口2m四方の床がみえる様に
なったのです。
やった〜〜♪この時の嬉しかった事。
それから、延々と片付け作業にかかりました。
人と人ともご縁で繋がっているのと同じ様に、その場所、
その土地とのご縁もある事を痛感しました。
通っていくに連れて、その事を肌で感じるようになったのです。
仲間がここにこんな珍しい神社があるよ!と教えてくれました。
どうやら、神様が旅の途中に立ち寄られ、お休みになった所の
ようです。
そっか〜ここは、神様と人が集い、休み、宴会をする場所に
なるんだと思いました。
一人ひとりが自分の心と対話できる場所になるのだと思いました。
膨大なゴミを片付けしていると、いろんな思いが横切ってきます。
何故、こんな他人の出したゴミの後片付けをしないといけないん
だろう?
でも、これって、人ごとではないのかもしれないな。
私たち人間がこの自然にしてきたこと、この地球にしてきた事も
同じなのではないだろうか?
そんな時、この度の戦争が始まりました。
こうして、田舎に行って自然の中で過ごしていた事で、
どんなに助けられた事でしょう。
改めて、自然の偉大さを感じました。
何度もめげそうになりながらも不思議なタイミング
でここまで来ました。
最初に閃いた通り、ここは個人のものではなく、みんなが集う場所になるのだと
確信できたのです。
この場所を私たちのNPOの拠点とする事になりました。
私たちの目指した夢がここにある気がしたのです。
この地域の方々にもご挨拶も済み、とてもいい方々ばかりで、
気持ちよく受けれてくださり、地域の方々と一緒にこの場所
を大切に育てていく事になりました。
昔の暮らし、日本人としてのスピリットを育めるそんな場所にしたいと思ったのです。
そして、2年がかりで、1000束の茅を刈り、みんなで力を合わせての再生が始まりました。
古民家の隣の山の沢に山積みされていた廃竹が大水の時に
崖崩れの危険性があることが分かり、地域の方々とメンバーで
山から取り出し廃棄処分(竹炭)しました。
元の神主さんをお呼びし屋祓いの儀式を行い、地元の方々や
関係者で秋に収穫された地域の餅米で餅つきをして交流会もしました。
地域の方が作られた蒟蒻芋で蒟蒻づくりのワークショップを開催し、
餅つきと蒟蒻づくりはここの恒例行事になりました。
地元の宮司さんや地域の方々と、
屋払い式、竣工祭も滞りなく
終える事ができました。
竣工祭には、能楽師の大倉庄之助
さんがきてくださり、祝いの鼓を
打ってくださいました。
谷間に響する鼓の音はそれはそれは幻想的で、古の方々も喜んでくださったと思います。
地域の方々との歴史の紐どきをしていきます。
茅葺屋根の再生に向けて、材料の茅をいろいろな場所で刈りました。
葦を刈る事でゴミも沢山でてきて河川の清掃活動に繋がっています。
今、私たちは、この地域にあるお宝さがしをすることになりました。
真の地域おこしとは、その地に住む人たちが古の人々の記憶を伝え、
アイディティティをつくるために繋げていくことなのだと思うのです。
そのアイディティティが地域住民のプライドになり、そのプライドが
あることで、その地域が次の世代へと続いていくのだと。。
そのお手伝いをしたいと思います。
今、私たちはその地に眠っていたお宝を掘り出し、古の人たちが
大事に守ってこられていた伝統を繋いでいくお手伝いをしています。
*今までの動画を製作中です。今しばらくお待ちください。
Comments